残業代を請求するための証拠集め

残業代を請求したいのですがまず何から始めればよいでしょうか?

残業代請求においては証拠が重要になってきます。
残業代請求における立証、すなわち、労働条件、労働時間や賃金等の立証は労働者側が行なわなければなりません。
確かに、労働者側に証拠がなく、会社側にのみ証拠があるような場合には、裁判上で証拠の開示を求め、会社側に証拠を出させて、立証に成功する場合もよくあります。
しかし、労働者側に労働条件、労働時間や賃金額等の立証責任がある以上、証拠があるに越したことはありません。
例えば、会社からタイムカードの定時打刻を強制されており、実際は、定時打刻後も残業をしていたような場合を考えてみます。
実際の残業分の残業代を支払わないことは違法ですが、このケースで裁判になった場合、残業を主張しても証拠がないと裁判所が残業を認めてくれないことがあります。
一方で、タイムカードは定時打刻であっても、LINE履歴、パソコンログ等から労働時間が立証できる時もあります。
すなわち、実際に残業をしていても、証拠がない場合にはその残業が認められないことがあるのです。
そのため、可能であれば、残業代を請求しようかと思いついた時は、証拠集めからスタートするとよいかと思います。

残業代請求に有効な証拠は何?

残業代請求に有効な証拠は何でしょうか。
一例として以下のような証拠が考えられます。
労働条件については、①就業規則、②賃金規定、③労働条件通知書、④雇用契約書や⑤求人広告等があります。ただ、運送業においては、雇用契約書等を作成していない会社もありますので、注意が必要です。
また、賃金関係を示す資料としては、給与明細があります。
労働時間については、タイムカードが一般的ですが、運送業や物流業においてはタイムカードを設置している会社の方が珍しいです。
運送関係については、労働時間を示すものとしては①日報や②タコメーターが多く使われています。
ただ、日報やタコメーターは、休憩時間の具体的記載がないことも多いので、休憩時間については何らかの形でしっかりと記載をするようにするとよいかもしれません。
また、デジタコの操作は正確に行うように普段から気をつける必要があります。
例えば、デジタコでは、「積み込み」「荷下ろし」「休憩」「休息」などのボタンがあることが多いですが、デジタコの操作をいい加減に操作していたような場合には、デジタコのデータに信用性が認められず、労働者に不利な認定がされてしまうこともあります。

どのような証拠を持って弁護士に相談したらよいでしょうか

残業代の証拠は、多種多様な証拠があることは以上に述べたとおりです。
では、弁護士に相談する際どのような証拠を持っていくとよいのでしょうか。
もちろん、できるだけ多くの証拠を持っていくのがよいですが、何を持っていけばよいかわからない場合もよくあります。
私がはじめて相談に来られる方には、よく以下の資料をお願いすることが多いです。
参考にしていただければと思います。

  1. 雇用契約書
  2. 給与明細
  3. 2、3ヶ月分程度の日報(デジタコ記録)

残業代請求を受けたら労働問題に詳しい弁護士にご相談ください

残業代請求は、会社の経営状況にも影響を与えるため、一度残業代を請求すると会社側もできる限りの主張・反論をしてきます。
会社側から主張反論をされた場合には、その会社の状況や労働状況などを踏まえた上で、会社側の主張に対し的確に反論していかなければなりません。
また残業代問題は、争点や論点も多岐にわたりますので、各争点や論点に的確に対応できる専門的知識も必要になります。
残業代の請求をお考えの場合には、適切な証拠集め等スタート時からつまずかないためにも、労働問題、特に残業問題に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。

当事務所の基本方針

当事務所の代表弁護士は、弁護士資格だけでなく、社会保険労務士の資格も保有しております。
残業代の請求にとどまらず、退職時の注意点や失業保険等のサポートも可能です。
労働問題でお困りのことがございましたら、ぜひ一度ご相談いただければ幸いです。

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