2024年問題の対応をどうすべきか

2024年問題とは

  • 月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が、2023年4月から50%以上に(従前は25%)
  • 自動車運転者の時間外労働の上限が、2024年4月から1年960時間までに(法違反は是正勧告の対象)

この2つの改正により、起こりうるさまざまな問題が「2024年問題」と言われています。
時間外労働の割増賃金率の増加は、従前2年で時効にかかっていた残業代の時効が3年に延長されたこととあいまって、未払い残業代の高額化が予想されます。
また、自動車運転者の時間外労働の上限規制により、長時間労働の削減について運送業界は対応を迫られています。
さらに、トラック運転者にとって最も影響のある改善基準告示の改正も2024年4月から適用されます。
時間外労働の上限規制と改善基準告示の改正により、運送業者の売り上げ減少やドライバーの賃金の減少が起こることが考えられます。
つまり、これらの2024年問題への対策を講じないと、ドライバーの離職増加や採用困難が進むだけでなく、人件費の高騰・管理コストの増加、さらには残業代請求の高額化により、運送業が事業として成立しなくなる可能性があると言われています。

改善基準告示の改正点

① 1年、1か月の拘束時間

  • 1年間の拘束時間が3516時間以内から1年間3300時間以内へと変更
    ⇒年間216時間の削減⇨月平均18時間の削減が必要
  • 1か月の拘束時間が293時間以内から1か月284時間以内へと変更
    ⇒月間9時間の削減が必要

これが何を示しているのでしょうか?
1年間の拘束時間が3300時間ということは、改正後の改善基準告示は、3300時間 ÷ 12箇月=月間275時間を想定しているということを示しています。
つまり、1か月の拘束時間284時間を守っていても、1年の拘束時間の上限を超えてしまう可能性があります。

② 1日の拘束時間

現行の改善基準告示は、1日の拘束時間は13時間以内、上限は16時間以内、15時間超は週2回までとされています。
それが、改正後は1日の拘束時間が13時間以内であることは同じですが、上限が15時間以内、14時間超は週2回までと引き下げられました。
なお、宿泊を伴う長距離運行の例外があります。

③ 1日の休息時間

現行の改善基準告示は、1日の休息時間は、勤務終了後継続8時間以上が必要とされています。
改正後は1日の休息時間が、勤務終了後継続11時間以上を基本として、継続9時間を下回らないこととされました。
なお、宿泊を伴う長距離運行等の例外があります。

④ 連続運転時間

連続運転時間は4時間以内とされていましたが、改正により、サービスエリアやパーキングエリアに駐停車できない等のやむを得ない場合には4時間30分まで延長できることになりました。
また、運転の中断については、1回おおむね連続10分以上、合計30分以上に変更されました。

⑤ 分割休息

現行では、継続8時間以上の休息期間を与えるのが困難な場合、分割休息が認められておりましたが、改正後は、継続9時間以上の休息期間を与えるのが困難な場合とされました。

また、現行では、分割休息は1回継続4時間以上、休息期間の合計は10時間以上、3分割も認められており、一定期間(業務上やむを得ない場合でも最大2か月程度を限度)における全勤務回数の2分の1が限度とされていました。
しかし、改正後は、分割休息は1回継続3時間以上、休息期間の合計は、2分割が10時間以上、3分割が12時間以上とされ、3分割が連続しないよう努めるという努力義務が設けられました。さらに、一定期間(1か月程度)における全勤務回数の2分の1が限度とされました。

⑥ 2人乗務

改正により、2人乗務の場合、勤務終了後、継続11時間以上の休息期間を与える場合、車両設備において車両内ベッドの長さが198cm、幅が80cm以上の連続した平面であることや、クッション材等により走行中の路面等からの衝撃が緩和されるものであることを要件として、拘束時間を24時間まで延長することができるとされました。
また、上記要件に8時間以上の仮眠時間を与える場合、拘束時間を28時間まで延長することができるとされました。

⑦ 予期しない事象への対応時間

改正により、予期し得ない事象への対応時間は、1日の拘束時間、連続運転時間、運転時間(2日平均)から除外できるとされました。
もっとも、勤務終了後に、通常どおりの休息期間(継続11時間以上を基本、9時間を下回らない)を与えなければなりません。

2024年問題の対策

以上が、2024年問題の概要になりますが、対策としては、①未払い残業代の請求を予防するような制度を構築すること、②適切に労働時間を管理し、時間外労働の上限規制及び改正後改善基準告示に合致するような労務管理を行うことに尽きます。

1 未払い残業代の請求を予防する制度の構築

重要なのは、会社の風土や環境に合致した制度を構築することです。
完璧な就業規則を作成しようと意気込んでも、会社の現状に合致していなかったり、就業規則で定めた運用を会社が実際に行っていなかったりすると就業規則の条項の効力が否定されてしまうことにも繋がりかねません。
会社の制度は、会社の現状に合致し、会社が十分に運用できるような内容でなければならないのです。

2 時間外労働の上限規制及び改正後改善基準告示に合致するような労務管理

労務管理はまず、現状の労働内容を把握することから始まります。
休憩・休息・待機・積荷・運行等それぞれの時間を細かく把握しなければ、労働時間の削減も適正な労務管理もできません。
そのため、適正な労務管理は実態の把握から始まると言っても過言ではありません。
労働実態を完全に把握した上で、時間外労働の上限規制及び改正後改善基準告示に合致するよう従業員の働き方を考えていく必要があります。

当事務所のサポート

未払い残業代の請求を予防するような制度の構築や適切な労務管理は、労働問題に強い弁護士や社会保険労務士に相談するのをお勧めします。
特に紛争リスクや労働基準監督署や国土交通省の処分リスクを減らすためには、労働問題に強い弁護士と会社が協働して制度を作成し、労務管理を行なっていくのがよいでしょう。
当事務所では、会社の実情に合致した社内規定を一緒に作成し、労務管理を行なっていくことで未払い残業代が請求されにくい、労働基準監督署や国土交通省の処分を受けにくい強い仕組みを会社と一緒に作っていきたいと考えております。
2024年問題でお困りのことがございましたら、ぜひ一度ご相談いただければ幸いです。

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