未払い残業代請求を弁護士に相談・依頼するメリットは何か

残業をしているにもかかわらず、法的に正当で十分な残業を支払ってもらえないケースは、実は少なくありません。
実際、残業代を支払ってもらえずお困りの労働者の方もいらっしゃることでしょう。
しかし、弁護士に依頼すると費用が心配、多額の費用をかけたのに十分な回収ができないのではないかと、ご心配になられる方もいるかもしれません。
そこで、本稿では、未払残業代を弁護士に相談・依頼するメリットについて解説していきます。

1 労働者自身が請求することは難しい

法律上、会社は労働者に残業代を支払う義務があります(労働基準法37条1項)。しかし、先ほども述べたように、会社の中には、労働者には正確な知識がないと考えて、労働者からの請求に誠実な対応をしないところが少なくないのも事実です。
確かに、労働基準監督署に相談すれば、調査の上、必要に応じて指導・勧告をしてもらうことができます。
しかし、指導・勧告に従うよう会社に強制する権限は、労働基準監督署にはありません。
そのため、労働者自身が残業代を請求することには困難が付きまとうのです。
そこで、弁護士に相談・依頼するという選択肢が出てきます。

2 弁護士に相談・依頼するメリット

具体的に弁護士に相談・依頼するメリットとしては、以下のものが考えられます。

2-1 会社と直接交渉しないで済む

ひとつめのメリットとして挙げられるのは、会社と直接交渉しないで済むということです。
労働者個人が残業代請求をすると、会社から種々様々な反論をされます。その中には道義的に不当ともいえる内容の言動(侮辱や恫喝など)が含まれている場合もあり得ます。
そのようなものにさらされながら一人で交渉すると、多大な精神的ストレスを抱えることとなります。
弁護士に依頼すれば、弁護士が交渉の窓口となるので、直接反論を受けなくて良いばかりか、弁護士相手に侮辱や恫喝をする人もかなり少ないので、会社側の言動によって嫌な目に遭うこともほぼなくなります。

2-2 証拠集めが容易にできる

残業代請求の証拠として考えられるのは、以下のものです。

  • 就業規則
  • 賃金規程
  • 労働条件通知書
  • 雇用契約書
  • 求人広告
  • タイムカード
  • 日報
  • タコメーター

これらのうち、労働者個人が持っているものは、労働条件通知書や雇用契約書、求人広告、タイムカードや日報のコピーくらいでしょう。
労働者個人では、会社側からの抵抗に遭い、必要なものすべてを入手することは困難です。
弁護士が労働者から委託を受けて介入して、会社に必要な資料の開示・送付を求めれば、会社側は一般的にこれに従い、必要な資料を開示・提出します。
また、会社がサービス残業をさせるために、実際は残業しているにもかかわらず、タイムカードを定時打刻させているようなケースなどにおいては、LINEの履歴やパソコンのログから正確な出退勤時間を把握することができる場合があり、弁護士であればそういったものもデータを出力したものを提供するよう会社に求めることも可能となります。
弁護士に依頼すれば、かなり細かい証拠まで収集することができるのです。

*残業代請求の証拠については、以下の記事をご参照ください。
https://www.labor-lawer.com/evidence/

2-3 正確で適切な金額を請求できる

弁護士に依頼をすれば、証拠に基づいて、正確に残業代を計算し、適切な金額を会社に請求することができます。
確かに昨今は、未払残業代の計算が自動でできるサイトなどをネット上で見ることがありますが、正確な金額を計算で導くためには、就業規則の内容や給与明細、就労状況などを個別に検討する必要があります。
そうすると、労働者が個人で誰の助けも借りずに残業代を計算することは極めて困難です。
ノウハウがある弁護士に依頼することのメリットは、とても大きいと言えます。

2-4 会社側の不適切な対応を防げる

先ほども述べましたが、会社は、労働者が個人で残業代を請求する場合には、知識がないだろうと考えて、違法不当な反論を繰り広げて、何とか残業代請求をあきらめさせようとすることがあります。
しかし、弁護士が代理人につけば、違法不当なことをすれば、労働審判や訴訟を起こされる可能性が高くなり、かつその中で、そのような方法を採っていたことを明らかにされることもあるため、会社側としては、労働者に対するのと同じ対応をすることは、事実上難しくなります。
弁護士が介入することによって、会社の対応が適正化されることとなるのです。

2-5 円満解決が可能

先ほども書いたとおり、弁護士が介入すると会社が適切に対応するようになるため、円滑な交渉ができるようになります。
会社側に弁護士がつくことも多く、そうすると、弁護士同士の話し合いがすすみ、労働審判や訴訟に進むことなく、和解をすることができるようになります。
労働者が自分で残業代請求をすると、その後気まずくなり、会社を辞めざるを得なくなることも往々にしてありますが、弁護士に依頼して円満に解決すれば、残業代請求をした後も、会社に継続して勤務することが可能となり、またその後は適切に残業代が支払われるようにもなります。

3 まとめ

以上で見てきたとおり、残業代請求を弁護士に相談・依頼するメリットはとても大きいものです。
残業代請求したいという人の中には、弁護士に頼みたいけれど費用が気になるという方もいるかもしれません。
しかし、残業代請求を弁護士に依頼して、正当な金額を回収することができれば、弁護士費用の元が取れることとなります。
また、弁護士費用の支払い方法について相談に乗ってもらえる場合もあります。
まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。
当事務所は相談料無料となっております。是非お気軽にご相談ください。

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